インドネシアではインターネットユーザーのうち約3割が仮想通貨を保有しています。
調査はお金の専門家とお金について相談したいユーザーのマッチングプラットフォーム「MoneyDuck」により実施されました。
この記事では調査の概要とインドネシアの仮想通貨事情について解説します。
目次
インドネシアのインターネットユーザー、約3割が仮想通貨を保有

シンガポールに拠点を置く「WISE EGG PTE. LTD.」運営の「MoneyDuck」は、2022年2月18日~2月24日の期間、インドネシアで仮想通貨に関するアンケートを実施しました。
対象となったのはインターネットユーザー444名です。
調査の結果、仮想通貨を保有しているユーザーは約3割おり、保有していないユーザーは約7割でした。
また、保有しているユーザーの約7割は30歳以下で、仮想通貨保有者が始めたきっかけは、新型コロナの影響でビットコインなど仮想通貨が値上がりしたことが挙げられます。
インドネシア国内には、政府認可の仮想通貨販売所が13箇所ありますが、ユーザーの取引が多かったのは「Tokocrypto」「Pintu」「Indodax」です。
保有するユーザーは高いリターンを期待しており、既存資産から仮想通貨に移行しているのが特徴です。実際に用意した投資資産はRp100,000~1,000,000(約800円~8,000円)が一番多い結果となりました。
ユーザーは月1回仮想通貨の取引をしており、その大半が友人・仮想通貨取引所のコンサルタント・アドバイザーなどの意見を参考に仮想通貨の取引を行っていることが調査からわかります。
仮想通貨保有ユーザーは短期的なリターンではなく長期的なリターンを目的に保有しているほか、仮想通貨に興味があり、勉強目的でも保有しています。
仮想通貨を保有していないユーザーについては「仮想通貨のことがよくわからないから」が一番の理由でした。
「WISE EGG PTE. LTD.」とは

2019年にシンガポールに設立された「WISE EGG PTE. LTD.」は「MoneyDuck」の運営企業、MoneyDuckはお金の専門家とお金について相談したいユーザーをつなげるマッチングプラットフォームです。
タイ・シンガポール・インドネシアで運営していますが、将来的にはマレーシアやベトナムにも拡大します。
WISE EGG PTE. LTD.の創業者は、松浦 剛志(まつうら たかし)氏で、シンガポールで起業し、インドネシア・タイを中心とした事業展開を行っています。
インドネシアに駐在歴があった松浦氏は東南アジア事情に詳しく、インドネシアが東南アジア最大の成長マーケットであると確信、起業を決意しました。
MoneyDuckはローン・保険・クレジットカードなどの金融商品を取り扱っている金融機関や専門家とユーザーがリアルタイムでマッチングできるサービスです。
東南アジアでは所得の増加に伴い、多くの人が金融商品・サービスを利用できるようになった一方で、多くの課題があります。
東南アジア市場の課題 |
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MoneyDuckは、専門家がリアルタイムで相談したいユーザーと出会え、ユーザーは簡単なUIでお金の専門家に相談できる環境を提供します。
インドネシアの仮想通貨事情とは

ジャカルタを首都とするインドネシア共和国は東南アジア南部に位置し、法定通貨は「ルピア」です。
2018年には暗号通貨が金融商品として認められ合法的になりました。
ただし決済手段として利用することは許可されていません。インドネシアでは株よりもビットコインの人気が高く、専用のATMまであります。
国内外のブロックチェーン業界で活躍する人々や企業の交流を促進するため、ジャカルタに「インドネシア・ブロックチェーン・ハブ」が開設されました。
2021年~2022年には仮想通貨への投資者数は600万人~1,200万人にも倍増しています。
大手暗号資産取引所バイナンスは、インドネシアが近い将来東南アジアのブロックチェーン経済圏になるのを見越し、インドネシアでデジタル資産取引所の設立を計画しています。
インドネシアで仮想通貨が普及する一方で、気になるのは反対勢力の動きです。
インドネシア税務当局は仮想通貨取引への課税を発表しました。
また、インドネシア銀行も中央銀行デジタル通貨の開発を検討しています。
インドネシア最大の取引所「Indodax」とは

「Indodax」は、インドネシア・東南アジア最大の取引所、インドルピアを基軸通貨にでき、取引手数料が安いことが特徴です。
指値注文すると取引手数料が0%になるといったメリットがありますが、その他の注文方法でもわずか0.3%と安くなっています。
デメリットはSMSによる二段階認証ができないことです。
取扱い通貨はUSDT建ての通貨BTC・BTT・EHT・GARD・NPXS・PXG・SSPであり、IDR建ての取扱通貨は100種類以上です。
また、Indodaxはインドネシア語・英語・中国語に対応しています。
インドネシア当局が仮想通貨への課税を開始

インドネシア当局は、2022年の5月1日から暗号資産取引のキャピタルゲインによる所得税と付加価値税(VAT)にそれぞれ0.1%ずつ課すと発表しました。
仮想通貨への課税は、インドネシア国税規則調和法を根拠に採択されましたが、背景には新型コロナウィルスにより財政赤字が深刻になっていることが挙げられます。
インドネシアは暗号資産保有率が高く、2021年にイギリスのFinderが行った調査では暗号資産保有者の割合は日本が5.8%であるのに対し、インドネシアは22.4%です。
インドネシア銀行が仮想通貨に対抗

インドネシア銀行は国内の仮想通貨に対抗する手段として、中央銀行デジタル通貨(CBDC)である「デジタル・ルピア」の開発を計画していることを明らかにしました。
インドネシアでは、新型コロナによりオンライン取引が急拡大したため、デジタル決済の推進を検討しています。
銀行券やカード使用による取引の規制同様に、デジタル・ルピアも規制されるでしょう。
また、インドネシアの宗教指導者は賭けの要素が強いため、イスラム教徒が仮想通貨を使用することを禁止しました。
インドネシアが東南アジアの中心に

インドネシアは仮想通貨の保有率が高く、バイナンスもインドネシアに拠点を作ることを計画しています。
オンライン取引が爆発的に普及し今後も仮想通貨の保有率は増えていくでしょう。
政府が仮想通貨に対抗するデジタルルピアを発行するとどうなるのか、今後のインドネシアの仮想通貨市場の行方を見守っていきましょう。